A Film About Coffeeをみた
この記事はコーヒーアドベントカレンダーの24日目の記事です。
24日が空いちゃったので、書きます。
初めたときには全然埋まってなくて「あぁこれ僕一人で20日くらい書くやつやな...」とか思ってたカレンダーもたくさんのマニアックな方々に書いていただけました。
このカレンダーを楽しみに生きてきた12月ももう終わってしまいます...。来年は何を糧にこの極寒を生き抜けばよいのか。さみしい。
目次
A Film About Coffee
先日、日本でも公開されたA Film About Coffeeを見てきました。
「究極のコーヒー」とは何か? コーヒーに人生をかけるプロフェッショナル達の熱い仕事ぶりと哲学を追う 世界を席巻するコーヒーカルチャーの"今"を描いたドキュメンタリー
A Film About Coffeeは、サンフランシスコを拠点に活動するCM監督のブランドン・ローパーさんを中心に制作され、もともとアメリカ・イギリスなどで公開されていました。今回この映画を日本に持ち込んでくださったのは、メジロフィルムズという配給会社さんのようです。
もともと日本でもいくつかのコーヒーショップでVimeoでの動画は発売されていたので、僕は先にそちらを見ていました。ですが映画館で改めて見直すと、いろいろ思うところがありすぎて号泣しました。
ということでチラ裏的な内容ですが、映画の内容ではなく、映画を見て感じたことを忘れないように書いておきたいなと思ってこの記事を書くことにしました。
生産者と消費者の関係性
農家の人々の現状
この映画での印象的なシーンはやはり、農場の人たちと、ロースター・バリスタが関わる場面。
Ritual Coffee Roastersのバリスタは、豆を生産しているHondurasの農家の人たちに、彼らが作るコーヒーを知ってもらおうと、エスプレッソとマキアートを淹れます。
コーヒーを作っている本人たちが自分たちの豆はおろかコーヒー自体飲んだことがないという状況は全く珍しいことではなく、僕がホームステイしていたウガンダのコーヒー農家のみんなも、やはりそうでした。
ダイレクトな取引
農家の人たちが自分たちの作っているものがどんな経路を経て僕たちみたいな消費者に届き、彼らの価値となっているかを知ってもらうメリットはたくさんあります。
生産者が、質を重視して農作物を育てる。その質が、ダイレクトに価値となって返ってくるような流通を作る。
そうすることで、消費者はより質の高い美味しいコーヒーを飲むことができ、生産者を含めたコーヒーをつくる人々にその価値を還元することができるようになります。
透明な流通経路
ここに関しては賛否両方あると思いますが、僕は基本的にはここでの「生産者を含めたコーヒーをつくる人々」はできるだけシンプルに少なく、透明な流通経路になる方がいいと考えています。
農家の方々がその生産の価値に対する対等な対価を享受できていない理由の一つに、仲介のマージンがあると思っています。
コーヒー(アラビカ)は標高の高いところで生産されるために、大抵の生産者が大きい街からは離れて暮らしていて、コーヒーの精製の最終段階を行える施設があるような大きい街への豆の輸送は、仲介に頼らざるを得ないという現状もこの状況を助長しています。
この経路を極力シンプルに、極端な例だと「生産者 => ロースター => 消費者」のような流れをつくることで生産者と消費者のよりよい関係性を作り出すことができるのではないかという思いが、この映画で一層強くなりました。
サードウェーブコーヒーと缶コーヒー
「サードウェーブコーヒー」の抱える2つのジレンマ
昨今のコーヒーシーンは、"サードウェーブコーヒー"なんて呼ばれています。A Film About Coffeeのテーマもこれにモロに絡んでいて、このムーブメントを代表するロースターさんがたくさん取り上げられます。
サードウェーブコーヒーの定義はたくさんあると思いますが、僕は「生産段階を含めた、"農作物としてのコーヒー"の価値を見直す」動きだと解釈しています。
前述した事柄を考慮すると、確かに僕もこの流れ自体にはとても賛成です。ですが、サードウェーブの向かう先に個人的には2つのジレンマを感じています。
質の高くないコーヒーの排除
一つ目のジレンマは、「じゃあ質の低いコーヒーはどうなるの?」ということ。
サードウェーブコーヒーでは、「質に見合った価値を農家に還元する」という場所を目指していると僕は考えています。ですが、ロブスタを伝統的に育てていたり、価値のあるコーヒーを作るための教育を受けることができないなどでといった事情を持つ人々はどうなるのか。。。
人々が高品質なスペシャリティコーヒーに関心を向け、コーヒーの本当の美味しさに気付くことはめちゃくちゃ素敵なことだと思います。ロブスタ種や、缶コーヒー自体が全般的に質が低いとは決して言いませんが、一般的にはそう理解されています。そんなロブスタも混ぜられた缶コーヒーが日本で売れなくなることで生計が立てられなくなってしまう人たちがたくさんいることを、忘れてはいけないと思います。
仲介者の存在
二つ目のジレンマは、「それまで仲介者として生計を立てていた人たちはどうなるの?」ということ。
サードウェーブコーヒーを語る上で大切だと個人的に思っている要素として、トレーサビリティー)があります。
トレーサビリティ(英: traceability)は、物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態をいう。日本語では追跡可能性(ついせきかのうせい)とも言われる。
via: トレーサビリティ (流通) - Wikipedia
このトレーサビリティーを向上する一番シンプルな方法が、農家とのダイレクトな取引です。
実際に最近では、北欧やアメリカ西海岸などを中心に農家と直接契約を行っているロースターも増えてきました。
ですがこれは農家の方々により妥当な価値を還元できるようになる一方で、仲介として働いている人たちの職を奪うことになります。
これらのような、サードウェーブコーヒーの裏にあるジレンマをどう解決できるのか、僕にはまだいい方法が思いついておらず、サードウェーブコーヒーには賛成しつつバンザイ!とは言い切れずにいます。
自分にできること・やりたいこと
映画を観終わって、自分にだってできることもたくさんあるのではないか、と焦りを感じたので、今やっていること、これからやりたいことをメモして忘れないようにしておきたいなと思います。
コーヒーノート
今は、昨年くらいからやっているCoffeeNoteのプロジェクトを再開して進めています。
CoffeeNoteは、もともとは僕個人の欲しいを叶えるアプリから始まり、消費者の部分から何か変えていきたいという思いで開発を進めています。今はAPIを作成中で、今年度中に今動いてるアプリをAPI経由で動かせるように移行したいと思っています。
CoffeeNoteで、コーヒーの楽しみ方を知ってくれる人たちが増えてくれれば本当に嬉しい。コーヒーに関心を示してくれる人たちが増えれば、社会も変わると思う。
COFFEE HOUSE TOKYO
「焙煎機やエスプレッソマシンのシェアリングができる場所」 + 「コーヒー関連で何かしてる人たち、コーヒーが好きな人たちが集まれる場所」 を作りたいなと構想を進めています。
その場所から、コーヒーをトピックにして身近で小さいミクロな部分から、世界のコーヒー流通といったマクロなところまで変えていけるようなプロジェクトがたくさんでてくれば、という思いを込めながら進めていこうと思っています。(今の仕事の関係でどのくらい動けるか分かりませんが...)
生産者という面でも
自分が日本に住んでいるというのもあり、消費者側のプロダクトを作ってしまいがちなので、生産者も巻き込めるようなプロダクトまたはサービスを作りたいなとずっと思っています。
ちゃんとアイディアが固まったら、動き出したい。
おわりに
ということで、いろいろと溢れる思いを書いてきましたが、音楽と美しい映像と相まって、1から10000くらいまでのコーヒーの魅力が詰まっていて、この映画を見た後には「うまいコーヒーが飲みたい...」とひたすら思わせてくれるような素敵な映画です。
これからも新宿だけでなく大阪、名古屋、横浜などで上映されるようなので、コーヒー好きな方に限らず、ご興味ある方ぜひぜひ見てください!
日本版Trailer!
Counterpart Coffee Galleryというコーヒー屋さんが西新宿にOPENする(らしい)
Counterpart Coffee Galleryというコーヒー屋さんが、西新宿五丁目駅近くにOPENするとのこと。
12/23~1/3までPreOpen、1/4にグランドオープン。
https://www.facebook.com/counterpartcoffee/
GLITCHの豆を使われてるみたい。
4/4 Seasons Coffeeもいいところだし、新宿にもおいしいコーヒーを飲める場所が増えるのは嬉しい。あと名前がCounter Culture Coffeeみたいでかっこいい。
明日、23日。行ってみようかな。
岡山のおいしいコーヒー屋さん5+3選
この記事は、大都会岡山 Advent Calendar 2015の17日目!になります。前回は、@sakie_boondockさんの「2015年12月16日 Webのセミナーに参加して最近思うこと。」でした。
岡山にも、おいしいコーヒー屋さん、たくさんあります。一度書きたいと思ってたのでこの機会にまとめてみます!
まだまだ行ったことないところがたくさんあるので「ここ忘れちゃいかんだろ」的なところがあればぜひ教えてやってください。
ということで、行ったことある場所5選 + 行ってみたいとこ3選でご紹介したいなと思います!
目次
5選
ということで行ったことあるお店の中から。
THE COFFEE BAR
キノシタショウテンというお店の姉妹店。
ここは、岡山駅の西口をまっすぐ行ったところにあってめちゃくちゃアクセスいいのですが、意外と知られてない。そしてコーヒーもおいしいので、ほんとにめちゃくちゃ行ってましたw
豆は、キノシタショウテンの店主さんである木下さんの焙煎されている豆を使われているとのこと。
だいたい2種類のオリジンの豆が2種類の焙煎度合で常に提供されています。抽出方法も、フレンチプレスと確か頼めばペーパードリップでも抽出してもらえたと思います。
意図的なのかは定かではありませんが、常時アフリカのどこか+南アメリカのどこかの豆という感じだったので、いつも行きたくなるようなお店でした。
キノシタショウテンさんは他にも、THE COFFEE HOUSEというお店をやられてるのですね。
ザコーヒーハウス (THECOFFEEHOUSE) - 大元/コーヒー専門店 [食べログ]
折鶴
岡山駅すぐ近くにあるコーヒー屋さん。入り口も、めちゃくちゃ渋いし、カウンター席しかありません。
そして、メニューもありません。特に注文がない場合は、藤原さんがその人ごとに、コーヒーを淹れてくださいます。
写真の右は、エチオピアのハラーの豆でした。(だったはず)
なんと表現すればいいのか分からないですが、エチオピアの豆ですが番茶のような香ばしさとスッキリとした抜けを感じたのを覚えてます。
もう一杯は、dense, deepでダークチョコレートやビターココアのようなフレーバーでした。
豆は全てかなり深入り。ネルで、時間をかけて丁寧に淹れて下さりました。僕のときは、ネルについてご質問してみたら、麻で自作されたものらしかった。ものすごい。
コーヒー生産国にも実際に行かれていて、その写真なども見せていただきました。エチオピアのハラーの豆だったり、品種ごとに果実の色や葉の形がかなり違ったことがとても印象に残ってます。
深煎りのコーヒーが好きな方はもう特に、間違いないと思います。
小野珈琲店
もともと僕は知っていたわけではないのですが、コア県立図書館ユーザだったために、その前を通り過ぎるたびに気になっていました。
コーヒー、美味しかったです。確か僕は最初に行った時には、コロンビアを頼んだと思います。先入観なく飲めて、美味しいと思えるとか、すごく幸せです。。。
マグカップ、店内の生花(小野さんが生けている(!!))、サイフォンの器具など、いたるところに小野さんのセンスが光りまくるお店でした。そういったその人の人柄だったり、センスだったり、直感だったりといったものも、一杯のコーヒーを構成するのだろうなぁと思いました。
ONSAYA COFFEE
東さんという方がされている、ONSAYA COFFEE。
奉還町、問屋町、と岡大の鹿田キャンパスの方にお店があります。
駅が近いので僕はよく奉還町の方のお店に行っていたのですが、一階が、もう最高です。
焙煎機がボーンって置いてあったり、いろいろな国の豆が置いてあったり。コーヒー好きにはたまらない空間になってます。。。
とある日に飲んだwoodberry coffee roastersの一杯が忘れれず、よくメキシコのコーヒーを飲んでました。グリーンアップルのような爽やかだけど甘みもあるような酸味が大好きです。
Koba Coffee
倉敷美観地区にある小林さんという方のコーヒー屋さん。
美観地区内に大きなお店があるのですが、実は美観地区の少し端の方に、小林さんが焙煎されている方の小さなお店があります。1人〜2人で、コーヒー大好きな方なら圧倒的に後者のお店に行くことをオススメしたいです。笑
店内の主要な面積を焙煎機が占有しており、カウンターが数席くらいしかありません笑
ですが小林さんがどのように豆を精選し、焙煎しているのかその場所から感じることができます。小林さん自信も非常に優しくて魅力的な方で、いろいろお話もおききできて本当に素敵な時間を美味しいコーヒーと過ごせます。
3選
ということで、いってみたいお店もメモしておきます。
内山下珈琲焙煎所カエル
アロマコーヒーロースタリー
Coma Coffee
番外編
神崎珈琲焙煎所
神崎さんがされている、神崎珈琲焙煎所。
店舗自体はありませんが、神崎さんは、かなりいろいろな場所で淹れられているようで、私は岡山の内山下小学校の校舎で行われたハイコーチャレンジというイベントで出店されていた期間限定のお店で初めていただきました。
ハイコーチャレンジ、個人的に本当に大好きでカッコイイイベントでした。内山下小学校で飲む木下さんの美味しいコーヒーも、さびれた校舎も本当に大好きでした。またやって、くれないかなぁ。。。なんか思い出して寂しくなってきた。。。(話題のブレがすごい)
おわりに
2013年の記事ですが、岡山のコーヒーシーンがギュッと詰まってる感じの記事です。これを読んで、僕はいつも感動していました。そして今回もまた読んで、また感動しました。
岡山にも、素敵なコーヒーシーンだったり、瀬戸内国際芸術祭だったり、ハイコーチャレンジやimagineeringなどの岡山未来づくりプロジェクトだったり、かっこいいカルチャーがたくさんあります。
今は休学して関東にいる自分ですが、岡山でもらったそういう刺激を誰かに提供できるような、こちらで感じる地方との差をなくせるようなことを、僕も将来微力でもできたらいいなと、記事を書いたり昨日のさきえさんの記事を読んでたりして感じ入りました。。(話題がブレる)
ということで岡山のおいしいコーヒー屋さん5+3選でした!なんかいろいろな思いが入り混じりとりとめないことなっちゃいましたが、ありがとうございました!
コーヒーな書籍5選と気になっている本
こんにちは、とつ(@totzyuta)です。
コーヒーアドベントカレンダーで6日目が空いたため、6日目となるこの記事を未来から書いています。
コーヒーアドベントカレンダーを最近の楽しみに生きているため、なぜか意味なく「埋めなくては」という強迫観念にかられています。楽しいです。
ワインに関連する本って、たくさんあります。ワイン自体のことに関する本だけじゃなくて、ワインを題材にした小説なんかまで。
ですがこれだけコーヒーを好きな人がいて、コーヒーに関する書籍がフィーチャーされることって、あんまりなくてさみしいなぁと感じます。
ということで今まで読んだ中でオススメの本を5冊紹介するエントリを書いてみたいなと思いました。
アフィリンクは面倒だしamazonのリンクがベタベタなってるのってなんかかっこよくないので貼ってないです。気になった本はぜひググったりしてみていただけると嬉しいです。よい本ばかりです(!!)
コーヒー おいしさの方程式 - 田口 護、旦部 幸博
カフェ・バッハの店主である田口護さんと、百珈苑BLOGを書かれている旦部さんの共著書。
田口さんの幾多のトライと経験から生み出した理論に、旦部さんの科学的観点からみた理論が合致していくさまは、読んでいてとても気持ちいいものがありました。
焙煎から抽出まで、これを読めばコーヒーのことについてかなり詳しくなれます。
ただし、ドリップて何?くらいのレベルで読み始めると恐ろしいことになりますw
僕は焙煎のことについては詳しくなかったので、焙煎のチャプターは理解が追いつききらなかったなと感じました笑 「またもっと焙煎をちゃんと経験積めたらもう一度」みたいな感じで何度も読み返したくなる本だと思います。
A Good African Story - Andrew Rugasira
Good African Coffeeというアフリカで栽培からパッケージングまでされているコーヒーブランドの会社の話。
A conversation one day.....#AGoodAfricanStory @Oprah pic.twitter.com/f2Nnt829lB
— Andrew Rugasira (@andrewrugasira) January 29, 2014
著者のAndrew Rugasiraさんはウガンダ出身でイギリスの大学で経済学を学び、再びウガンダに戻り会社経営をやられている方です。もともとやっていた映像系の事業をやめ、よりウガンダの社会のためになる事としてコーヒーを選びました。
これは現在もほぼ変わっていませんが、アフリカや南アメリカなどといった、大半が途上国である国で生産・精製された豆の一部の質のよいものが先進国に輸出され、焙煎・パッケージング(ブランド化)されるという流れで僕たちのテーブルまでコーヒーはやってきます。
おいしい"国内産"のコーヒーをつくるために、農家の方と信頼関係を結ぶところから、焙煎・パッケージング、イギリスの大手ストアの棚に置いてもらうための営業まで、Andrew Rugasiraさんが泥臭くGood African Coffeeを立ち上げる話が書かれています。
「おいしいドリップコーヒーの淹れ方」とかが分かる本ではないですが、アフリカにおいてコーヒーがどういうものなのか、途上国の農家の方々と私たち消費者の両者にとって持続性のある関係性、みたいなものについて考えさせられる本です。
オススメ。
僕はコーヒーが飲めない - 川島 良彰(監修), 吉城 モカ(イラスト), 福田 幸江 (原著)
完全なるコーヒーが好きな人のための漫画です。
コーヒーが好きな人なら100%楽しめる本だと思います。2巻でハワイの農園にいくところも、多分川島さんの経験に基づいてなのか、農家の方の実情を知った上で書かれているのかなと感じて、とてもグッドだなと思いました。
実はこの漫画は、僕はあまり詳しくないのですが、著者の方が他の作品で忙しく2巻で止まっているとの噂をきいていたのですが、調べてみたところTwitterでこんなつぶやきが...。
スピリッツ49号発売中。『僕はコーヒーがのめない』第28話センターカラーで掲載中です〜
単行本3巻は12月27日に発売決定です〜!! pic.twitter.com/IsKjjzsa7O
— 霜月かよ子 (@shi_moon11) November 3, 2015
ということで、再会されていてしかももうすぐ3巻発売とのこと!!!!!
嬉しすぎる!!!!!!!
たのしみ〜〜〜〜〜
The Blue Bottle Craft of Coffee: Growing, Roasting, and Drinking, with Recipes - James Freeman, Caitlin Freeman, Tara Duggan
Blue Bottle Coffeeといえば、今何かと話題の「サードウェーブコーヒー」の火付け役と言われていて、元クラリネット奏者のJames Freemanが創業者です。有名な話として、Twitter創業者のエヴァン・ウィリアムズ、Instagram創業者のケヴィン・シストロム、WordPress創業者のマット・マレンウェッグが投資者として名をあげていて、Techな世界の文化が流れてきていることも、コーヒーの世界ではまた新しい。
Blue Bottle Coffeeについての記事だと、以下のWIREDの記事がとてもよかったです。僕の予想では、マイクロブリューイングにもこだわっているはずのJames Freemanが投資をもらい店舗を増やして海外展開までするのには心理的な抵抗もあったんじゃないかと思ってます。そんなところまで感じさせてくれる記事。
そんな彼がどのようにコーヒーを育て、ローストし、それを僕たちが飲んでいるのか、みたいな本です。写真もめちゃくちゃ綺麗なのが本当によいです。
Blue Bottle Coffee、おいしいです。。日本では青山の二号店にしかいってないのですが、アメリカではかなりの人気っぽくSan Franciscoには何店も出店しているのでそのうちのいくつかに行きました。今度清澄の方も誰かぜひ一緒に行きましょう。。笑
珈琲哲学序説 - 寺田寅彦
物理学者であり夏目漱石の門下生でもあった寺田寅彦さんの短編。短編というか、雑誌のひとコラムといった感じかもしれないですね。
こちらは著作権がもう切れているらしく、オンラインで全文が掲載されていました。
このコーヒー哲学序説は「小宮豊隆編『寺田寅彦随筆集第四巻』」に収録されたものらしいです。
『コーヒー哲学序説』の初出は昭和8年2月、雑誌『経済往来』に掲載された。一杯のコーヒーを哲学、宗教、芸術であると喝破した寅彦。コーヒーの効能について「宗教は往々人を酩酊させ官能と理性を麻痺させる点で酒に似ている。そうして、コーヒーの効果は官能を鋭敏にし洞察と認識を透明にする点でいくらか哲学に似ていると考えられる。酒や宗教で人を殺すものは多いがコーヒーや哲学に酔うて犯罪をあえてするものはまれである。前者は信仰的主観的であるが、後者は懐疑的客観的だからかもしれない」と持論を披歴する。 http://sub.ris-co.jp/campus/index.php/weblog/archives/8
この本を読むと、「自分にとってのコーヒー」について考えさせられる。それは「美味しいから飲む」ものなのかもしれないし、「眠りから遠ざけてくれるもの」かもしれないし、もしかしたら寺田寅彦のように「コーヒーの味はコーヒーによって呼び出される幻想曲の味」なのかもしれない。
芸術でも哲学でも宗教でも、それが人間の人間としての顕在的実践的な活動の原動力としてはたらくときにはじめて現実的の意義があり価値があるのではないかと思うが、そういう意味から言えば自分にとってはマーブルの卓上におかれた一杯のコーヒーは自分のための哲学であり宗教であり芸術であると言ってもいいかもしれない。 寺田 寅彦 (2012-09-13). コーヒー哲学序説
芸術と哲学と宗教とコーヒーの共通点を活動の原動力としているけど、そう考えると誰にとってもそういうものはそれぞれあるものではないかと感じるし、じゃあ誰にとってもその原動力こそが哲学であり宗教であり芸術であるように思える。
紛れもなく僕にとってのそれはコーヒーなんだろうなと、この本を読んで感じました。(なんか紹介じゃなくて読書感想文になっている...笑)
読みたい
これから読みたい本、今気になってる本リストもメモしておきます。。
- COFFEE WITH TIM WENDELBOE 日本語版
- 私はコーヒーで世界を変えることにした。 - 川島良彰
- おいしいコーヒーの経済論(「キリマンジャロの」苦い現実) - 辻村 英之
- コーヒーのグローバル・ヒストリー 赤いダイヤか、黒い悪魔か - 小澤 卓也
- 田口護のスペシャルティコーヒー大全 - 田口 護
- スターバックス再生物語 つながりを育む経営 - ハワード・シュルツ
おわりに
ということで、読んだ中から選んだおすすめなコーヒー関連書籍5冊と気になっている本たちでした。
なんか読書感想文みたいになりましたが、一度まとめておきたいなと思っていたのでよかったです。
ということでコーヒーアドベントカレンダー7日目はYuka Watanabeさんの記事です!スタバ一号店に関しての記事とのこと〜〜〜。
僕もいっときパートナーとして働いていたので、たのしみ。
コーヒー豆のハニカム構造がペーパードリップに与える影響
この記事は、コーヒーアドベントカレンダー2日目の記事です。
1日目は、@totzyutaさん(僕)の、「コーヒーの旅路ー1杯がテーブルに届くまで」でした。
とういことで今回は、以前のブログで挙げていたものをもう一度大幅改訂して再掲します。(もう疲れ始めたとかではないですよ、決して。)
昨日の外観的な記事から一転かなり局所的な内容な気もしますが(笑)、個人的にすごい気になるところだったので今回を機にいろいろ調べ直せたりできてよかったです。
カリフォルニアで出会った知り合いがコーヒーが大好きで、その知り合いとよくコーヒーについて語っていた。その人はとても魅力的で鋭い感覚を持っていて、その人に教えてもらったことがたくさんありました。
わりと有名な話だとは思うけど、コーヒー豆のハニカム構造が抽出に大きな影響を与えているということも、そこで得た知識のうちの一つだ。そのハニカム構造こそが、抽出のさいのポイントになると、教えてくれた。
自分でドリップする中で、そのようなコーヒーにおける科学的な側面から経験と結果に基づいて理論を導き出すことは難しい。
ということで今回は、コーヒーの持つハニカム構造について調べて、それをここで自分なりのひとつの理論としてまとめてみようと思う。
ハニカム構造とは
まず、ハニカム構造とは、以下のような、蜂の巣とかでよくみるような六角形が隣接しあってできた構造のこと。
引用元: http://d.hatena.ne.jp/coffees_for_healthy_life/20130821
どうやらこれは、細胞壁が炭化した際に生じる構造らしく、ということは焙煎後の構造らしい。
そしてコーヒーの成分はこの壁に付着していて、炭酸ガス(よくコーヒーのうまみの核と語られる)がここに詰まっているとのこと。
抽出の仕組み
コーヒーのハニカム構造の概要についてみたところで、コーヒーの抽出自体の仕組みについてももう少し掘り下げてみようと思う。
以下の記事で、なぜペーパードリップでの抽出時に豆が膨らむのかについてすごく詳しい説明がされていました。
この記事で、
透過法はこの膨らみによって形成された透過層(※)に湯を繰り返し通過させることで、コーヒーの成分を湯に溶かし出す仕組みだからです。 膨らまなかったり、逆に陥没して減っこんだりするような状況では、透過法のロジックが破綻してしまいます。
とあるように、透過法、つまり普通のペーパードリップのような抽出方法においては、繰り返しお湯が粉を通過することが大事なのですね。
浸漬法と透過法の違いについては、以下が非常に詳しかったです。
(僕も完全に勘違いしてたのですが、ケメックスは透過法に該当するのではなかったのですね(!!)まじか!)
ここの記事によると、コーヒー豆のハニカム構造における六角形は(外接円の直径(対角長)が?)0.01mmほどの大きさとのこと。
そしてここの記事によるとコーヒー豆の粒度は中挽きで0.6~0.71mmほどになるそう。ということは粉にしたコーヒーの粒子のうち一粒につき60~70ほどの空洞があることがわかる。
そして大事なのはこの空洞、透過層をお湯が何回も通過することでそのコーヒーの成分を抽出すること。
ペーパードリップの大前提は実はそこにあって、ただ重力に従ってお湯が下に落ちたのでは均等に成分を抽出することができない。
お湯がこのハニカム構造の外壁を溶かし、そこから漏れた炭酸ガスによってお湯が押し上げられてまた構造の奥に浸透していく...、を繰り返すことによって均等な成分の抽出が行われる。
だから抽出のときに膨らむのがよいこととされてるんだ。なるほどすぎる。
ハニカム構造を考慮した抽出の2つの理論
1. 豆の細さは、中粗挽き
細すぎると、すべての空洞にお湯が行き渡っていい面もあるかもしれないが、その分ハニカム構造をより多く破壊していることにもなる。
だから結局、ちょうどよいくらいの挽き具合がいいのだろうと思う。僕の中で現状ちょどいいと思うのは、中粗挽きくらいだと感じている。まんべんなく成分を抽出できる範囲で、構造をできるだけ破壊しないようにとどめるということが重要かなと。
2. 膨らみを重要な評価基準にする
今まで抽出中に豆が膨らむのを、なんとなく、「あー新鮮な豆なんだなぁ」くらいにしか思っていなかったけど、ここは本当に重要な評価基準だった。
豆が膨らむということは、このハニカム構造の空洞の中に炭酸ガスがまだたくさん含まれていたということ。
そしてこの炭酸ガスが空洞間の蒸気やお湯の流通を手助けしてくれるということだ。
だからペーパードリップという抽出方式の観点から見ても、コーヒー豆が新鮮である、ということは非常に重要なことだったんだ。
さいごに
ということでハニカム構造が抽出に与える影響について考察してみたけど、実際この理論を、経験を持って身のあるものにしていかないといけない。
ということで抽出の際にはこういった理論を意識して一杯ずつにエビデンスを持っていかなきゃいけないなと思ったのでした。
明日は
ということでコーヒーアドベントカレンダー3日目はLIGHT UP COFFEEの川野さんの「僕がコーヒー屋さんを始めたわけ」です!!!
ガチプロロースターの方に書いてもらえるのアツすぎる。。。LIGHT UP COFEEめちゃくちゃいいのでぜひ吉祥寺いってみてくださいーーー!
余談
余談で全く関係けど、金沢大学のあの有名な廣瀬教授はイグノーブル賞をもらってたんですねw カコイイ
イグノーベル賞学者でもある珈琲博士・廣瀬幸雄名誉教授が発明した過熱水蒸気焙煎機でコーヒー豆を焙煎すると、水素分子を内蔵した焙煎豆ができてくるのです。 http://d.hatena.ne.jp/coffees_for_healthy_life/20130821
友人が金沢大学にいっているので、行ってみたいな。教授がまだいらっしゃるのか少し定かではないけど。。。
参考記事
記事中であげさせてもらった以外の参考にさせていただきました記事です。
ちゃんとした、ペーパードリップのコツ お家がカフェ/ウェブリブログ
おいしいコーヒーのヒント Vol.3 【淹れたて編】 | Saredo Coffee
家で飲むコーヒーを美味しくするたった1つの方法 | 琥珀色のウタカタ